2026.07.09

「DIG:R STUDY MEETING #010」レポート

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■日時 2026年6月27日(土)13:15 〜 14:15
■会場 『KItoNOKO』 @kitonoko_nikko
■ゲストスピーカー 「Kuru」河本典子さん @kuru_hiroshima
■聞き手 一般社団法人HLL代表理事 水木 智英さん

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2024年から始まった「DIG:R STUDY MEETING」。その記念すべき第10回目のトークイベントが、広島市西区商工センターにオープンしたばかりの「KItoNOKO」で開催されました。ゲストの河本典子さんは、広島のさまざまな場所でマルシェイベント「kuru」を主宰する場づくりの実践者。この日、同会場でも河本さんが主宰する「kuru vol.9 “KItoNOKO ni kuru” 」が開催されており、会場全体が心地よい熱気に包まれる中、多くの来場者や出店者もトークに耳を傾けました。

トークの翌日28日も開催されたkuru vol.9 “KItoNOKO ni kuru” で、ギターを手にライブを行う水木さん。

「トークイベントへの登壇は初めて」と少し緊張気味の河本さんと、まちづくりプロジェクトに取り組む傍ら、ミュージシャンとしての顔も持つ水木智英さん。これまで「Kuru」のステージにも何度も出演するなど、河本さんとは旧知の仲であることを明かし、「いつも通り、のりちゃんと呼ばせてもらいますね」と優しく声をかけ、トークセッションがスタート。

「triangle walk」は3人組のユニット。店を持たずに、アクセサリーやシルクスクリーンの靴下・ハンカチなど、日常に寄り添うプロダクトをイベント中心に販売・展開。大阪在住のメンバーの参加は限られるものの、ゆるく繋がりながら活動は10年以上、続いている。

マルシェイベント「kuru」は、「行ったり来たり、くるくるめぐる」という言葉からネーミング。河本さんが「いいな」と思ったお店や作り手に声をかけ、会場を固定せずさまざまな場所で開催しています。記念すべき1回目は、コロナ禍に「KIRO 広島」のスペースで開催されました。写真は船越町にある「molers(モラーズ)」での1コマ。

「kuru」の現場に毎回飾られる「広島地図ののれん」。開催場所に出店者の名前を書き足していくことで、出店者への感謝の気持ちを表現しているそう。

会社員として働きながら、ライフワークの幅を広げてきた河本さんでしたが、2026年、ついに会社を退職することを決意。直接のきっかけは家業を手伝わないといけなくなったことだったそうですが、そこには他の想いもあったようです。

「やりたいことはたくさんあっても、自分の体や時間は一つ。すべてを完璧にこなすことはできないし、自分を取り巻く環境が変わってきたなと感じたタイミングに、今までライフワークとして大切にしてきたことや、新しいことに本気でチャレンジしてみようと思ったんです」と、決意の裏にあった想いを言葉にしました。 その「新しいこと」の一つが、2026年3月から始めたコミュニティスペース「4/10(yo n te n)」での活動です。

4/10(yon ten) は広島市中区袋町にある、前職の会社が運営する店舗の2階(ネイルサロンの一画)を借りて設けたコミュニティスペース。
 “手を動かす時間を大切に” をモットーに、オープン日には手作りのプロダクトを販売したり、ワークショップを開催したりしているそう。 河本さんはここで毎月「ちくちくぬいぬいてしごと部(通称:ちくぬい部)」を開催。時間と空間を共有することを大切に、参加者がそれぞれ作りたいものを持ち寄って、チクチク手を動かしています。

後半は、河本さんが現在の活動を始めたきっかけや、継続のコツ、場づくり・コミュニティ運営のリアルについて、水木さんが用意した質問を投げかける一問一答形式で進められました。その一部をご紹介します。

最初から仲間がいたわけではなく、『やってみたい』と思って一人で行動し始めたら、自然と手伝ってくれる人や仲間に出会えたという感覚です。具体的には、まず『ここでやってみたい!』と思う会場を見つけてアプローチし、快諾をいただいてから、出店してほしいと思う方々に声をかけていきました。まずは場所を決めて、一歩を踏み出すことがスタートでしたね。

『頑張りすぎないこと』です。イベント出店は月に1回あるかないか、多くても月2〜3回程度。徹夜をして作品を作るといった、メンバーの負荷になるような無理はしないと決めています。それぞれができる範囲で、仲間と楽しみながら続けてきたからこそ、10年という長い月日を重ねられたのだと思います。

日頃から『いっぱいいっぱいにならないようにしよう』という意識(意思)を持つようにしています。そのために以前は移動に自転車を使っていたのですが、最近は意識して歩くようにしています。ゆっくり歩く時間が、頭を整理し、心に余白を生み出す良いキッカケになっている気がします。

『この人と一緒にやりたい』と心から信頼できて、作っているものや人柄が優しくやわらかな雰囲気の方にお声掛けをしています。数字や集客力だけで判断するのではなく、心地よい関係性を大切にしているからこそ、マルシェ全体にも自然とその温かくて優しい空気が伝播するのだと思います。

最近、体力の衰えを感じるというか、今までできていたことができなくなったと思うこともあって、生活習慣を見直しました。歩くことを増やし、ピラティスを始め、食生活も変えました。以前は朝食を抜きがちだったのですが、今はゆで卵とヨーグルトを必ず食べるようにして、毎日のベースとなる体力を整えています。

実は、あまり『失敗した』と感じたことはないかもしれません。強いて言えば、屋外イベントで雨が降ったことくらいですけど、それは失敗ではなく、ひとつの思い出ですね(笑)。


イベント終盤には、会場の参加者からの質問にも答える時間も設けられ、「集客への不安や、気をつけているコツはありますか?」「新しくイベントを立ち上げたい、ポイントはありますか?」といった質問があがりました。

河本さんは「集客の不安はあるけど、自分が本当に良いと思っている出店者さんばかりなので、その魅力がちゃんと伝わるよう、言葉をしっかり考えて発信することを意識している」と回答。
また「自分の『これをしたい!』という熱い想いが、周囲に真っ直ぐ伝わるように発信していくことが一番のポイントだと思う」と、自ら心がけていることをありのままに伝えてくれました。その言葉に質問者も「ぜひ今後の参考にしたい」と笑顔を見せました。

この日、kuru vol.9 “KItoNOKO ni kuru” のブースに立ち、笑顔で接客する河本さん

最後に水木さんから、「今の広島は、何かを始めたい人にとって、どんな魅力やチャンスがある街だと思いますか?」と投げかけられ、河本さんは次のように答えて、トークを締めくくりました。

「広島は顔の見える関係性が作りやすく、人と人が繋がりやすい。『やりたいこと』を『やりたい場所』で実現しやすい街。まだ実施されていない面白いアイデアもたくさん残されているので、一歩踏み出すのは怖いかもしれませんが、踏み出してしまえばあとは歩くしかありません。やらなかった後悔よりも、やってみることを選んでほしいなと思います」

水木さんはそんな河本さんに「のりちゃんは、自分のやりたいことを周りの人に言葉にして伝えている気がするし、いろんな人と会話を交わす中で、自分の答えを見つけていっている気がする。人に話す、伝えるということは、何かを始める上でとても大切なことですね」と総括しました。 自分の「好き」を素直に言葉にし、仲間と共に温かい場に変えていく河本さんの姿勢に、参加者一同が深く共感。勇気をもらったトークセッションでした。

取材・文:イソナガ アキコ
写真:おだやすまさ

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